巣鴨

16のえなりかずきには思春期特有の悩みがあった。

「どうして僕がオヤジなんでしょうか?」

それはおしゃれカンケイで彼が反論した言葉である。



その言葉遣いをオヤジというのはひどい話であろう。

彼ほど言葉遣いのしっかりした若者はいない。

オヤジというよりはむしろ若者の鏡だ。



趣味のゴルフをオヤジというのもひどい話であろう。

若者だってレジャーとしてたしなむようになった。

オヤジというよりはむしろ若者の最先端だ。



確かにオヤジ顔かもしれない。

だがそれでオヤジとは余りにひどい。

16の彼の心はひどく傷ついたに違いない。



しかし彼は何もせず悩んでいたわけではなかった。

つんくプロデュースで歌手デビューを果たす。

更にエッセーも出しサイン会を開いた。



おばあちゃん達の原宿と言われる巣鴨、とげぬき地蔵にて。

志士仁人 / 瀬名