歩く思い

3年前まで先輩と共に歩んだ道を
ボクは一人で今歩んでいる
通いなれた喧騒
通いなれた商店街
幼い頃はよくお菓子を買いに来た
年上のキミは色々ボクに選んでくれたね

キミを女性と感じ始めた
照れくさい学生服になれない頃は
お使いに食材を選びに来たね
人ごみの中はぐれないように
繋いだ手の柔らかさを今でも覚えているよ
いつもいつもボクを導いた
あの優しい手を

先輩が選んでくれた
ダボダボの煤けた軍用コートも
今でもボクの宝物

いつからだろう求めたのは
いつからだろう欲したのは
幼馴染の男女だったボク等
友情のような曖昧だった形が
いつしか譲れない形になった
時間の分だけ強く硬く

だからボクは歩く
見上げる空にはちいさく咲いた梅の花
思いを込めて歩く
先輩にあの子に会うために
最後の望みを祈るために
湯島天神への参道を
彼女の笑顔を思い浮かべて
歩く街に生まれたボクが

夢工房夢月堂 / 姫新翔