フォトグラフビュウ

晴れた日。
今日は良く晴れた良い日だ。
澄んだ青に少しかかる雲と、全てを縁取る太陽が綺麗だ。
踊りだすような陽気が心地良いだけじゃない。
あたしの横には彼がいる。
スキップをして進む中で、足元の小石たちが音を立てて散る。
しゃらしゃら、しゃらしゃらと。
この夢みたいな砂利道に、流れる川の音がざわめいているだけ。
その川が見せる陽光の光が、視界をさえぎるだけ。
自然はとても繊細で、優しい音に涙が落ちそう。
あなたは気づかないけれど。

「良い天気だね」
「そうね」
「この当たりの河川敷、日本で一番綺麗なんだって」

それはあなたがいるから?
それはあたしがいるから?
花々さえ、あたしたちのほうへ笑ってるこんな日。
あたしの心が、こんなにも美しく咲いている。
あなたは気づいているかしら。

「綺麗だな」
「ええ、本当に」
「少しそこに立ってみて」

地面に敷き詰めたようなタンポポの上に立つと、
急にあなたは少しかすんだ。
濃い霧の中に隠れたように、
あなたの微笑んだ口元が揺れている。

「やっぱり、綺麗だな」

カシュン、カシュン、カシュン。
景色が切り取られる音がした。
空間は思い出に閉じ込められたのだ。
それはもう、ノスタルジックな一枚に。

「そんな目で見ないでくれよ」
「今のあたし」
「うん」
「写真よりも綺麗?」

ファインダー越しに見たあたしよりも、綺麗?

「僕だけで見るのはもったいないくらい、綺麗だよ」

あたしのせいで、あなたはかすんだの。
あなたのせいで、あたしには見えないの。
晴れた川べりに、少しの雨が降ったから、
あたしたちは影になったの。
答えられない声が重なる。
一面の花々が、音を裏切った。

「聞こえない」
「たいしたことは言ってない」
「そんなことばっかり」

太陽や砂利道や流れる水音は時間を取り戻して、
風に触れたタンポポが、彼を想ってる。
彼はまたそれを、少しだけ切り取った。
まるで全てに気づいているみたいに。

RO-MAN / にわとり