どれみのうた

「次は、四ツ谷~四ツ谷~・・・」
そんないつものアナウンスを聞きながら。
あたしは電車を降りた。

いつも利用してるこの駅。
だけど来る度に。
昔、あたしがまだちっちゃかった頃、母に言われた言葉を思い出す。
「4は死(シ)だから、縁起の悪い数字なのよ」

それ以来、なんとなく4は嫌い。
4が死だから縁起が悪い、なんて話を真に受けてるとか。
そんなわけではないけれど。
つくづく、子育てって洗脳だと感じる。

そんなわけで、あたしは。
毎日利用するこの駅を、どうも好きになれなかった。

いつもどおり。
改札をくぐって、エスカレーターに乗る。

「ど~はどーなちゅのど~、れ~はれもんのれ~・・・」
どこからか、ちっちゃな子の歌声が聞こえてきた。
「ふぁ~はふぁいとのふぁ~、そ~はあおいそら~・・・」
後ろを見ると、女の子がお母さんらしき人と一緒にエスカレーターをあがってくる。
彼女が歌っているようだ。

「し~はしあわせよ~、さぁうたいましょう」

・・・シは幸せのシかぁ。
あたしの顔からは笑みがこぼれてた。

紅詞 / Ren