23:00

無限に続くものがこの世にあるとしたら

妄想だけだ

シンデレラになんてなれやしない

時計の針が0時をさせばおわる

23時に見る夢だけでしかあたし達は許されない







彼とは、働き出してしばらくしてから知り合った。
友達の先輩で知り合ったときにはもう既に結婚をしていた。お酒が好きで元気な人だった。あたしも大学時代にたいそう呑まされていたので少々のことは知っていたが、彼は色んなお酒のことを話すのがとても好きなようなので黙って聞いていた。カラオケも頑張ってあたし達の世代に合わせようとするので、あたしは昔の歌が好きなふりをした。
笑っていても彼だけが疲れきっているようにみえた。なんにもできないけど、その時間だけは楽しい時にしっかり彼が笑えるようにしたかった。

次に会ったのはそれからまもなく電話がかかってきた時だった。彼の誘いで、一緒に御飯を食べに行った。
彼はデジカメを持ってきていて、2人の子供たちの映像を何枚も何枚も見せてくれた。無邪気な笑顔でカメラにむかって笑う彼女たちはとてもかわいかった。だからあたしは心から可愛いと思った。


「かわいいね、幸せそう」

そう言って笑った。けして嫌味ではなかった。でも、彼は誤解した。

「幸せに見える?」

「え?あぁ・・・、まぁ。うん。」

「きらりは幸せ?」

「ぼちぼちかな。」

その頃、つきあっていた彼は浮気真っ最中でルンルン、ろくにあたしの家によりつかなかった。
記憶が無くなるまで飲んでから家に帰るとそのまま寝れる。1人が嫌いってわけでないけど、そうゆうときにヤツを思い出すのがくやしかったから。
だから、幸せか?と問われてちょっと答えに詰まった。

「俺とつきあわへんか?」

「はー?彼氏おるもん。なーにゆうちょるんよ。」

あたしが浮気なんてしようもんなら仕事に行けないくらいに大変なことになる。また殴られんのは堪忍してほしい。

「彼氏にばれんようにしたらえかろう。」

「奥さんいる人が言うセリフ?やめときって。あたしそんなん嫌いやし。」

「お前は俺が守ったるし。あんまりこんのやろ?彼氏さん。」

(えー?なんで知ってんの?!)
心の中で叫んだ。恥ずかしくて思わずうつむいて赤面してまった。

「無理せんでええよ。渡来から聞いた。」

(あいつ!無駄口たたかせるために相談したんじゃねええええ、のうなしがあああ)
今度は友達への怒りで顔が赤くなってしまった。

「きらりはなんも心配せんでええけ。別れろとは俺も家庭があるから言わんわ。きらりに側におってほしいだけや。」

少し冷静に考えた。なんでこの人はこんなことを言うのだろう。家庭が大事ではないのだろうか?子供の写真を思い浮かべた。

「じゃなんで、あんな写真見せたと?」

「全部知ってもらいたかった。きらりに嘘は付きたくないから。」

「・・・そか。」

とりあえず感想としては胡散臭い。こんなの受け入れる女なんているのだろうか。好きでもなかなか難しい。

彼の話では奥さんは精神的にまいっていて、毎日仕事に行くだけなのに包丁をつきつけるのだとゆう。子供にも暴力を振るっているらしい。子供は保育園にあずけ、自分で迎えに行くようにしたが毎日ヒステリーを起こし狂ったようになるのがもう彼には耐えかねるらしいのだ。

あたしはその話を聞き、いくつも嘘を感じた、何にせよ出てくる単語がうそ臭い。
おそらく奥さんとうまくいってないのは本当だろう。そして、彼はあまり浮気をしたことがないのだろう。そして、ただの弱い人だ。何かはまだよくわからないが、現実から逃げたいのだ。だから、ほかでもないあたしを選んだ。

同じにおいのするやつがわかる。

同じ穴のムジナ。



後日、妻に交際が見つかったが相変わらずあたし達は続いている。

「愛してるよ。」

何度、この言葉を聞いたことだろう。うんざりだ。

家庭から逃げ出し、人間関係の難しい職場から逃げ出し、現実の世界のすべてから逃げ出そうとして、あたしを抱くこの人はいったいどこに行きたいんだろう。

よくわかんない、愛してるなんて。


嘘や見栄や性欲や虚勢や自分自身やそうゆうもの全てに振り回されて、でもそうゆうものが捨てられなくて、あがいてる人は滑稽だ。一時の快楽や癒しが愛?誰かに愛されてないと不安?傲慢だわ。

もうどうでもいい、そんなこと。

考えても状況は何も変わりゃはしない。過去に戻れるわけでもないし、ここから未来に向かって進んでいっても真新しいことなんて何にもない。大切な人たちでさえ、あたしがいてもいなくても普通にやっていける。愛とか希望とかいずれなくなるものはもういらない。

無限に続くものがこの世にあるとしたら

妄想だけだ

シンデレラになんてなれやしない

時計の針が0時をさしても

23時と変わることなんて何もない。

いつまでも変わる事のない素敵極まりないドロドロな日常がまってる。

ある意味、23時が永遠に続くなら

あたしも幸せでいられるのかもしれない

ご都合よく、愛とか信じられるのかもしれない

生臭いリアルから

目をそらしながらね

~ A frame ~ / みぅ