through the night.

自分の叫び声で目が覚める。
そんなの、別に珍しい事じゃない。

─ 夜が明け始める午前4時

ガクガクと震えるカラダを一生懸命抱きしめて
だいじょうぶ、だいじょうぶ、と言い聞かせる。

少しずつ落ち着いてきた頃を見計らってキッチンに行き、ミルクティーを淹れる。
お気に入りのマグカップにシュガーとミルクたっぷりのBirthday Tea.
缶パッケージのピンクとオレンジが目に焼きついて離れない。

サイドテーブルからタバコと灰皿を取って、パーカーを引っ掛ける。
ポケットにウォークマンが入ってる事を確認してから外に出た。
歩いて5分の距離にある海は、幼い頃から頻繁に、ヒトリで朝を迎える場所。
夜明け前の海は、まだ寒い。

持ってきた灰皿とマグカップを、割らないようにテトラポットの上に置く。
ポケットから取り出したタバコに火をつけて、ゆっくり、深く、息をする。

─ 泣きたくなるほどの寂寥感

イヤホンを耳にツッコんで、乱暴にPLAYボタンを押す。
流れ始める音楽は、君がワタシにくれたもの。
君が好きな曲の中から、ワタシが好みそうなものだけを選んで作成された90分。
失った時間を、唯一リアルに蘇らせてくれる大切なツール。

君の想いを聴きながら、ゆっくりと煙を吸い込んで。
明けていく空を見ながら、あたたかいミルクティーを飲む。

明けない夜は無いんだって、君はよく言ってたね。
でも、ワタシには未だにそれが真実だとは思えない。

明けない夜は確かに無いよ。
でもそれは
どう足掻いても事実が変わる事は無いって思い知らされるだけの言葉だ。

夜が訪れては切なくさせて
朝焼けに変わってはワタシを責める。
毎日は怠惰に流れていって
日々は繰り返されてもワタシの心は動かない。

君が居なくなって、ワタシの傍から居なくなって
どんなに哀しくても苦しくても、毎日は一定の間隔で繰り返される。

─ 何て滑稽なんだろう

吐きそうな程の眩暈と圧迫感に襲われて、目覚める時間はいつも4時。
テトラポットに蹲って、星が消えてく空を眺める時間はジャスト4時44分。
だから4時は嫌いだけど4時44分は好き。
君の想いと同調したまま、消えていく星に願いを飛ばせるから。

6時。
空の星が全て消えてしまったのを確認してから、ゆっくりと立ち上がる。
カラになったマグカップと吸殻の残る灰皿に目を落として、小さく溜息。

今日もまた、クダラナイ1日が始まる。

07 / NANA