変わらないモノ

小学生の頃、私にいつもちょっかいをかけてくる男の子がいた。
叩いたりつねったり、私の物を取っては悪戯をしたり。
当時はそれが嫌で嫌で、学校へ行くのがとても億劫だった。

でも彼は同じようにいじってくる子たちとは違う、私と同じ雰囲気の持ち主で。
人に対してどこか遠慮していて、一歩後ろを歩いているイメージ。


数年前の成人式の時、受付で彼を見つけた。
「元気?」──背は170㎝位、私は彼を見上げないといけなくなっていた。

でも、目から受ける印象は驚く程あの時のまま。
遠慮がちなところも変わらず。

「あ、大阪に就職するんだって?二年後にそっちに行くつもりだからよろしく」
「街でバッタリ出くわしたら、声掛けてよ」

私の言葉を興味無さそうに、でも少し笑みを浮かべながら聞く彼。
「で、返事は?」「・・・うん、分かったよ」


彼の背負っているモノは、私のと同じ種類の物体。
生まれてくるときに一緒に付いてきた、少々厄介な付属物。

光求め共に乗り越えていこう。
住む所は違えども、同じところに生きているのだから。

sayuri