4月1日
「 結婚するなら、エイプリルフールがいいな 」
「 去年のエイプリルフールには離婚したワケだしな 」
「 そう言えば、そんな事もあったね 」
「 ネタにしちゃ、破壊力ありすぎだったっつの 」
穏やかな時間。
傾いてく夕日。
オレンジに彩られる、君のカオ。
「 カレンダー買ってたよな? 」
「 うん、あのカレンダー、お気にいりなの 」
「 ドコ? 」
「 ソッチの窓にあるよ 」
スーツの擦れる音。
手を伸ばした君。
流れるのはBUMP OF CHICKEN。
「 うは、1月のままじゃねぇかよ 」
「 うん、そうなの 」
「 気に入ってるならちゃんと使えっつの 」
「 うはは、確かに 」
ペンを取り出す君。
カレンダーを捲る音。
4月1日に、赤くて大きな花丸。
「 全然予定とか書いてなくね? 」
「 ていうか開封してもないのがウケる 」
「 ホントに気に入ってるのかよそれ 」
「 気に入ってるから、使えなかったんだよ 」
跳ね上がる体温。
締め付けられる気持ち。
苦しくて、切なくて、愛しい。
「 結婚の為にだけ存在するなんて、幸せなカレンダーだな 」
「 幸せなのはカレンダーなの? 」
「 いや、俺ら 」
「 倖せに、なるんだよね 」
Title of mine.
君が求めた存在理由。
── 名前を、呼んでくれよ
真実の名前を貰った日。
抱きしめられた熱い腕。
── ずっと、傍に居るよ
何度も戯れた熱い部屋。
加速していく情熱と吐息。
── 死が二人をわかつまで
此れからも同じ家に帰ろう。
笑顔も喧嘩も取り混ぜて。
「 絶対に倖せにする 」
「 いっぱい聞いたよ 」
「 何度でも言うよ 」
「 うん 」
揺れる前髪。
伏せた切れ長の瞳。
ワタシを呼ぶ、その声。
「 名前を呼んで? 」
「 じゃあ俺も 」
「 うん 」
「 うん 」
口唇から零れる君の名は。
伝って落ちる透明な雫は。
二人だけの小さな暗号。
「 カワイイって言って 」
「 うん 」
「 いっぱいぎゅーってして 」
「 うん 」
体温の高い君と
体温の低いワタシが
混ざり合って溶け合える瞬間。
「 大好きだよ 」
「 うん、ワタシも 」
「 ちゃんと言えよ 」
「 大好き 」
愛してる、じゃなく
大好きをあげたい。
此れからも変わらず、君だけに。
「 これからもよろしくお願いします 」
「 これからもよろしくお願いします 」
「 倖せになろうね 」
「 必ず 」