繋がるもの

俺はココを離れ幾年を過ごしただろう
自分の好きに生きるために捨てた気になっていたこの場所
何年かぶりかに戻った俺にソコは古ぼけた様相でお帰りを告げる
そう誰よりも先に・・・・・
数年の月日を音信不通でいた俺を
なぜか両親は笑顔で迎えてくれた
元気だったか?お帰りと・・・・・
俺が覚えていた時よりもシワを増やした顔で
今となってはわからないが
疎ましいとさえ思えた両親が愛しく見えた
そして両親と同じように年老いたこの家が
昔の感触を思い出すかのように
音を鳴らす階段を1段1段踏みしめる
子供の頃に何度も上り何度も下りた
そして行き着いた先に俺の過ごした部屋がある
端に詰まれたダンボール以外なにも変わっていなかった
俺がココで過ごした時を共にすごしたモノさえも
傷だらけの表面を撫でながら俺は思いを馳せた
ぴかぴかの表面に頬をすりつけ笑ったあの日
道で拾った宝物を隠したあの日
未来から青い友達が来ると信じたあの日
始めて女の子に手紙を書いたあの日
色々な思いを詰め込み古ぼけながらも輝いている
俺の生きてきた証・・・・・・
両親の与えてくれた宝箱・・・・・
俺は思う
今はまだちいさく
この世に生きる準備をしている君に
とっておきの宝箱を買おうと
両親がくれた思いを
曇った窓から空を見上げ
俺は両親の元に向かう
今までの謝罪と
そう・・・・新たなる家族を迎えてもらうために

夢工房夢月堂 / 姫新翔